受け入れられない結末 「エミリー・ローズ」  3-16
夜になって雨になりました。
今、台風のような強い風が吹いています。

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【ネタバレ注意】
映画の評判はいいようだ。実話だそうだが、それは裁判の争点が悪魔ばらいだったというだけで、映画の内容は脚色されているのだろう。ドキュメントじゃないから当然だけど。

悪魔にとりつかれる前からジェニファー・カーペンターの顔は怖かった。
とりつかれる前の可愛い場面がもっとがあるとよかったと思う。
彼女の演技を見るだけでも映画館へ行く価値がある。こんなすごい役を演じて、次の仕事が来るだろうか。よけいな心配をしたくなるほど迫真の演技だった。
たしかに、エクソシストやオーメンなどのエンターテイメント系オカルト映画とはひと味違う。役者もいい。この手の映画にしては地味な演出ながら、中だるみもなくおしまいまで恐怖とサスペンスを楽しめた。
しかし、つっこみどころもある。
弁護士の身の上にまでオカルティックな出来事が起こるのはおかしい。
そして、何よりもエミリー・ローズの秘密、彼女が選択したある決断、神父が自己を犠牲にしてまでも公にしたかった彼女の隠された事実、この映画のクライマックスである告白…それがまったくわたしには受け入れられなかった。反感さえ感じた。
自分がつくづく無神論者であることがあぶり出された映画だった。悲しいまでにババチ当たりだなあ、オレって。
ま、わたしのこの人生、すでにバチが当たってるのかも…


追記
この映画の結末がわかって、「ヨーク軍曹」を思い出した。
「ヨーク軍曹」は、第一次大戦で活躍した実在の人物を描いた1941年のアメリカ映画で、ゲイリー・クバーが主演だった。
若きヨークは、何物にも縛られない自由人だったが、ある時信仰に目覚め、殺すなかれの信仰と戦争の殺戮の間で苦悩する。しかし、真の自由を守るためには敵を殺すのもやむなしと悟って、ヨーロッパの戦地に赴き、敵を殺しまくって英雄になる…そういう映画だ。
当時実際に第二次大戦の最中だったから、この映画も戦意高揚を目的としていた。だから、しかたないのだが、海を渡ってヨーロッパまで出かけて行き、相手が攻撃してきたから正当防衛で反撃したと言う論理にはあきれた。しかし、この考えは今のブッシュ政権内でもごく普通にまかり通っている考えだからアメリカは当時とちっとも変わっていない。
この映画のキリスト教的解釈の身勝手さと、ヨーク軍曹の都合のいい考えがそっくりだったので、思い出したのだと思う。
by ONDTP | 2006-03-16 23:39 | 酔鯨的シネマ評
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