カテゴリ:プロカメラマンとの仕事( 4 )
プロカメラマンとの仕事 その4 ロバート・キャパ
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「人殺し」の心理学 1998年 原書房 (写真:ロバート・キャパ 装丁:土佐の酔鯨)

おそれ多くもロバート・キャパの写真です。
バルコニーで撃たれ、部屋の床に崩れ落ちた兵士。床には鮮血が流れ出している。まだ息があるのかすでに死んでしまったのか写真からはわからない。周囲は静かなのか、激しい戦闘の銃声が鳴り響いているのもわからない。ただ、部屋の奥の暗がりにいて、ファインダー越しにこの倒れた兵士を見つめているキャパの視線だけは強く感じる。

恐ろしい内容の写真なのに、構図やトーンを分析的に見ている自分がいます。刺激が強いほど、悲劇性が強いほど「傑作作品」になる戦争報道写真のおぞましさを感じざるを得ません。
編集者から渡された数枚のプリントの中から選んだと記憶しています。あまり憶えていないのは、自分で積極的に選んだ写真ではなかったからでしょう。
タイトルが刺激的なこともあり、自分で装丁していながら、あまり好きになれないデザインになってしまいました。
by ondtp | 2005-12-27 23:26 | プロカメラマンとの仕事
プロカメラマンとの仕事 その3  マイヤーヴィッツ
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「あの夏の終わり」 1992年 草思社 
(写真:マイヤー・ヴィッツ Longnook Beach 装丁:土佐の酔鯨)


写真集「 CAPE LIGHT」で有名なマイヤーヴィッツ
“何かシンプルで見やすいもの、そして不思議な感じと希望に満ちている”ものを探してマイヤーヴィッツが出会ったモチーフが「コッド岬」だと言われています。
8×10の大型カメラでとらえた、静謐で19世紀絵画風のしっとりした風景写真が気に入って使用しました。
写真集の解説の中に、彼がエドワード・ホッパーの影響をうけており、ホッパーからの「引用」もあると説明されているのを見つけて、ホッパー好きのわたしはなるほどと納得がいきました。

後日談があって、編集者から写真の使用料が思った以上に高かったのでデザインのギャラを少しまけて欲しいと連絡がありました。貧乏デザイナーには辛い話でしたが、いい写真を使うためにはときにはこんな犠牲もあります。
いい仕事と収入は反比例する…ってか?
生活が楽になる日は来るのか?

ジョール・マイヤーヴィッツ Joel Meyerowitzr

プロカメラマンとの仕事 その2 藤田一咲
プロカメラマンとの仕事 その1 岩合光昭
by ondtp | 2005-12-27 12:08 | プロカメラマンとの仕事
プロカメラマンとの仕事 その2  藤田一咲
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「七つの月」 1991年 講談社 (写真:藤田一咲 装丁:土佐の酔鯨)

プロ・カメラマンとの仕事、第二回は藤田一咲氏。
藤田一咲氏は、このところ「えい文庫」から「ハッセルブラッドの時間」「パリ散歩の時間」「お茶と写真の時間」など、「~の時間」シリーズをつぎつぎと精力的に出されています。

この「七つの月」の頃(1991年)はパリの写真が目立っていたように思います。
白黒プリントを印刷でわずかに色を変えて使わせてもらいました(webでは色が正確に出てないですが、ややセピア色です)。本が出版された後、藤田氏から丁寧なお礼の手紙を頂いた記憶がありますが、ちゃんと返事を出したかどうか…。この頃はフリーになってまだ日も浅く、大変な時期だったのでうっかり失礼したかもしれません。この場を借りて15年遅れのお詫びを申し上げたいと思います。

初めて会った席で、この本の編集者から
「翻訳本をデザインした経験は?」
と訊かれ、
「得意です」
と答えました。
本当は、翻訳本の装丁は一度もしたことがありませんでした。しかし、何事も積極的に臨まないとフリーランスでやっていくことなどできるものではありません。たとえ40℃の熱でフラフラであっても、「絶好調です!」と言うのがプリーランスのプロ根性(というか、生きてゆくための努力)というものです。
あれからはや15年の歳月が過ぎてしまいました。
中年老いやすく、仕事順調になりがたし…

プロカメラマンんとの仕事 その1 岩合光昭
by ONDTP | 2005-12-27 00:22 | プロカメラマンとの仕事
プロカメラマンとの仕事 その1 岩合光昭 

わたしは、吹けば飛ぶような一介のグラフィック・デザイナーにすぎませんが、長いことやっているので、これまでの仕事を振り返ってみると、有名なプロ写真家の写真を使わせてもらったこともありました。過去の仕事の中から、何人かのプロ写真家の作品を選び出してみました。

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「犬たちの隠された生活」 1995年 草思社 (写真:岩合光昭 装丁:土佐の酔鯨)

第一回は、動物写真家の岩合光昭氏。
普通の犬の写真に見えますが、オーストラリアに生息する「ディンゴ」と呼ばれる野犬です。特徴は耳がピンと立っていることです。野性化しているためペットにはなりません。子羊を襲うので害獣として射殺されることも珍しくないようです。
写真に撮影の苦労は写りませんが、野性化した犬を撮るのは容易なことじゃないでしょうね。ライオンなど、もっと危険な野生動物を撮っている岩合氏ならではの写真だと思います。

暑い夏の日、編集者と一緒に岩合氏の事務所まで出かけました。壁の棚いっぱいに並んだ膨大なポジフィルムをライトテーブルに並べて、じっくり時間をかけて選んだことを思い出します。
この本はそれなりに売れたので、この後、「猫たちの隠された生活」「犬たちの礼節ある社会生活」と続きました。それらにもやはり岩合氏の写真を使わせてもらいました。もう10年以上も前のことになります。
光陰矢のごとく、中年老いやすしか…
by ONDTP | 2005-12-26 22:03 | プロカメラマンとの仕事